探し物

「彼との出会いは、ぼくが自然科学史ゼミをやっていて、
ある年そこに入ってきた。可愛らしいぼうやがキザな格好をして、
隅のほうにショボンとしている。それが彼だった。
彼はものすごく便利な子で、うちに遊びにきたときなどに女房が、
「ジャズピアノ興味あるけど、どう弾くの?」ときくと、
パッと自分でジャズピアノの練習曲を作って持ってきてくれる。
食器棚買いたいと言うと、あすこのがいいと案内してくれる。
神戸に遊びに行きたいというと、「ここのコーヒー屋さんがおいしい」
と、神戸のプレイマップを作ってくれる。彼はすべてに通じていた。
ありとあらゆる分野の、珍しい新しい情報はみんな彼が教えてくれた。
「これが一番新しいLPです」「橋本治、おもしろいですよ」
高橋源一郎が出たときも教えてくれた。どこからか情報を獲得して
教えてくれる。彼は医者の息子だから、裕福な上に、高校の時に
山口昌男の本を全部読んでいて、京大在学中に六本木で週一回
ピアノを弾いていた。彼の家にいくと、玄関に大きなミロの絵がかかって
いる。小学校からサティの音楽を聴いて、ミロを眺めて暮らすとああいう
子が生まれる。」

この文章が何に書かれているのかを探しに図書館へ行く。
作者は森毅だということである。
どの本が分からないが、これっぽいかなと読む。

ゆきあたりばったり文学談義 (ハルキ文庫)

ゆきあたりばったり文学談義 (ハルキ文庫)

うーん、残念。違ったかー。
しかし関連してそうなところがあった。
以下引用
「○○なんて坊やは、教養課程のときから原語で「テル・ケル」を読んでいました。そういうのとはつきあいきれません。」
そんなこととは別に、内容はそこそこおもしろいかな。